「AIで作ったイラストをブログに使ってもいい?」
「好きなアニメキャラをAIで生成してSNSにアップしたら法律違反?」
生成AIを使う上で避けて通れないのが、「権利(法律)」の問題です。
知らずに他人の権利を侵害して訴えられたり、逆に自分が作ったものの権利を守れなかったりしないように、正しい知識を身につける必要があります。
この記事では、生成AIパスポート試験で最も重要な分野の一つである「知的財産権」や「著作権」、そしてAI生成物の権利関係について、専門用語を噛み砕いて解説します。
知的財産権とは
知的財産権とは、人間が考え出したアイデアや技術、デザイン、芸術作品などの「形のない財産」を守る権利の総称です。
いくつかの種類がありますが、生成AIと特に関わりが深いのは以下の4つです。
- 著作権:小説、音楽、絵画、プログラムなどの「表現」を守る権利。登録しなくても作った瞬間に発生する。
- 特許権:新しい「発明(技術)」を守る権利。
- 意匠権:物品の「デザイン(形や模様)」を守る権利。
- 商標権:商品やサービスの「マーク(ロゴ)や名前」を守る権利。
特に「著作権」は、AIが学習するデータ(文章や画像)や、AIが生成したアウトプットに関わるため、試験でも最重要キーワードとなります。
生成AI活用における知的財産権(著作権)
日本の法律(著作権法)では、生成AIと著作権の関係を「AIが学習する段階」と「生成したものを利用する段階」の2つに分けて考える必要があります。これが非常に重要なポイントです。
1. AI開発・学習段階(原則OK)
日本では、AIに学習させるために著作物(他人のイラストや文章)を利用することは、原則として許可なく行っても良いとされています(著作権法第30条の4)。
「情報解析」のための利用であれば、著作権者の利益を不当に害する場合を除き、自由に学習データとして使えます。
2. 生成・利用段階(注意が必要!)
しかし、AIが生成した画像を「SNSにアップする」「販売する」といった利用段階では、人間が描いた絵と同じように著作権侵害のルールが適用されます。
著作権侵害になるかどうかの判断基準は、以下の2つです。
- 類似性:既存の作品と「似ている」か?
- 依拠性(いきょせい):既存の作品を「知っていて、それをもとに」作ったか?
もし、特定のイラストレーターの作品をAIに集中的に学習させ(依拠性)、そっくりな絵を生成して販売した場合(類似性)、著作権侵害となる可能性が高くなります。

肖像権とパブリシティ権
著作権以外にも、人の「見た目」や「名前」に関する権利があります。
- 肖像権:自分の顔や姿を、勝手に撮影されたり公表されたりしない権利。一般人にも有名人にもあります。
- パブリシティ権:有名人の名前や肖像が持つ「顧客吸引力(客寄せ効果)」を独占できる権利。勝手にアイドルの写真を広告に使われないための権利です。
生成AI活用におけるリスク
生成AI(ディープフェイク技術など)を使って、実在する芸能人が商品を宣伝しているような偽動画を作ったり、許可なく有名人の顔を生成して広告に使ったりすることは、パブリシティ権の侵害になります。
また、一般人の顔写真をAIの学習データに使い、その人が特定できるような画像を生成・公開することは、肖像権の侵害や名誉毀損になる恐れがあります。

不正競争防止法
ビジネスにおいて、ズル(不正競争)を防ぐための法律です。生成AIに関しては、特に以下のデータの扱いに注意が必要です。
- 営業秘密:秘密として管理されている顧客リストや設計図など。
- 限定提供データ:IDやパスワードで管理され、特定の会員だけに提供されているデータなど。
生成AI活用におけるリスク
会社の「営業秘密」であるデータを、不用意にChatGPTなどの公開AIに入力してしまうと、情報漏えいになるだけでなく、不正競争防止法上の問題になることがあります。
また、他社の有名な商品とそっくりなパッケージやロゴをAIで生成して商売に使うことも、この法律で禁止されています。
AI生成物に関する権利(著作権はあるのか?)
「AIで作った作品は誰のもの?」という疑問については、現在の日本の解釈では以下のように考えられています。
AI生成物に著作権は発生する?
原則として、「AIが自律的に生成したもの」には著作権は発生しません。
著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されており、ここでの主体は「人間」に限られると考えられているからです。
つまり、プロンプト(指示)を短く入力して、AIが勝手に出してきた画像は、誰のものでもなく(パブリックドメインに近い状態)、誰でも自由に使えてしまう可能性があります。
例外:著作権が発生する場合(創作的寄与)
ただし、人間がAIを「道具」として使いこなし、人間に「創作的寄与」があると認められれば、著作権が発生します。
- 何度もプロンプトを試行錯誤して修正を繰り返した。
- 生成された画像に、人間がPhotoshopなどで大幅に加筆・修正をした。
この場合、その生成プロセスに関わった人間が著作者となります。

まとめ
今回の記事では、生成AIに関わる権利について解説しました。
- 著作権侵害の基準:「似ているか(類似性)」と「元ネタを知っていたか(依拠性)」で判断される。
- 学習と利用の違い:AIに学習させるのは原則自由だが、生成物を公開・販売する際は侵害リスクがある。
- パブリシティ権:有名人のそっくりさんをAIで作って勝手に広告に使うのはNG。
- AI生成物の権利:「AIが勝手に作ったもの」に著作権はない。「人間が道具として使いこなし、創作的に関与したもの」には発生する可能性がある。
試験では「プロンプトを入力しただけで、直ちに著作権が発生する(×)」といった問題がよく出ます。AIはあくまで道具であり、権利の主体は人間であるという点をしっかり理解しておきましょう!



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